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人事労務コラム Column

2022.10.01

法改正情報

【2022年7月】副業・兼業の促進に関するガイドラインの改定

ヒューマンテック経営研究所 所長 藤原伸吾(特定社会保険労務士)

2022年6月7日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」において、成長分野・産業への円滑な労働移動を進めるためには、副業・兼業をさらに推し進めることが有効であり、副業・兼業を許容しているか否かや条件付許容の場合の条件について情報開示を行うことを企業に推奨することとされました。このことを受けて、2022年7月8日に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されました。

そこで、今回は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の概要および改定内容について解説していきたいと思います。

1.「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の概要

まずは、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」という。)の概要について見ていきましょう。ガイドラインは、働き方改革実行計画に基づいて2018年1月に策定されたもので、副業・兼業を希望する者が安心して業務に取り組むことができるよう、副業・兼業の場合における労働時間管理や健康管理等についての考え方をまとめたものです。

ガイドラインに定められている主な事項は、次のとおりです。

【ガイドラインに定められている主な事項】

労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に労働者の自由であるが、以下の事項については、例外的に副業・兼業を禁止または制限することができる。
①労務提供上の支障がある場合
②業務上の秘密が漏洩する場合
③競業により自社の利益が害される場合
④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
労働時間管理において、複数の会社に勤務する労働者の労働時間については、労働時間規制が適用されない場合を除き、原則として通算される。その際、通算して法定労働時間を超える部分がある場合、以下の順番により、後で通算された企業から三六協定による時間外労働として割増賃金の支払義務が生じる。
①所定労働時間の通算 :時間的に早く労働契約を締結した順に通算される。
②所定外労働時間の通算:所定外労働時間が行われる順に通算される。
健康診断、長時間労働に対する面接指導、ストレスチェック等の労働安全衛生法に基づく健康確保措置の選定にあたって、複数の会社に勤務する労働者の労働時間を通算することとはされてない。ただし、使用者の指示により労働者が副業・兼業を開始した場合は、通算した労働時間に基づき健康確保措置を実施することが適当である。

 

2.ガイドラインの改定内容

改定後のガイドラインでは、企業の対応として、新たに副業・兼業に関する情報の公表に関する項目が創設され、以下の文言が追加されました。

【ガイドラインに追加された内容】

企業は、労働者の多様なキャリア形成を促進する観点から、職業選択に資するよう、副業・兼業を許容しているか否か、また条件付許容の場合はその条件について、自社のホームページ等において公表することが望ましい。

 

この点について、「副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&A」では、次のとおりとされています。まず、副業・兼業の範囲について、他の会社等に雇用される形での副業・兼業が挙げられますが、雇用契約によらない請負・委託などについても、副業・兼業の範囲として公表することが考えられるとしています。

また、公表する事項については、副業・兼業を許容しているか否か、また条件付許容の場合には、その条件について公表することが望ましいとされており、自社のホームページで公表する場合として、次の記載例が挙げられています。

【自社のホームページで公表する場合の記載例】

例:副業・兼業について条件を設けず、許容している場合)
弊社では、従業員が副業・兼業を行うことについて、条件を設けることなく、認めています。
         
例:副業・兼業について条件を設けて、許容している場合)
弊社では、従業員が副業・兼業を行うことについて、原則認めています。ただし、長時間労働の回避をはじめとする安全配慮義務、秘密保持義務、競業避止義務および誠実義務の履行が困難となるおそれがある場合には、認めていません。

 

さらに、公表方法について、自社のホームページ以外の方法として、会社案内(冊子)や採用パンフレットが挙げられています。なお、これらの方法により掲載した後に、副業・兼業が許容される条件等に変更があった場合には、速やかにホームページの内容を更新することが望ましいとされています。

3.おわりに

今回の改定により、副業・兼業が許容される条件等を公表する旨の内容が追加されたものの、あくまで「望ましい」との記載に留まり、公表しないことで罰則や行政による指導の対象となることはありません。副業・兼業の制度がまだ十分に整備されていない場合には、まずは副業・兼業ルールを整備することから始めるとよいでしょう。

以上

 

ヒューマンテック経営研究所
所長 藤原伸吾(特定社会保険労務士)

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