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人事労務コラム Column

改正育児・介護休業法

2024.08.15

法改正情報

【2025年(令和7年)4月・10月施行!】育児介護休業法等の改正の概要 ~ 「介護」・「次世代法」に関する改正ポイントについて ~

ヒューマンテック経営研究所 所長 藤原伸吾(特定社会保険労務士)

今回は、本年の通常国会で成立した育児・介護休業法および次世代育成支援対策推進法にかかる改正法(※)のうち、介護に関する改正および次世代育成支援対策推進法(以下、「次世代法」という。)の改正の内容について見ていきます。

※正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律」

前回コラム
【2025年(令和7年)4月・10月施行!】育児・介護休業法等の改正の概要~ 「育児」に関する改正ポイントについて ~

 

1.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化

介護に関する改正では、介護離職を防止するため、介護両立支援制度等の周知の強化や介護休暇の見直しが行われました。

(1)介護両立支援制度等についての個別周知・意向確認(施行日:2025年4月1日)

対象家族が介護を必要とする状況に至った旨を労働者が申し出たときに、介護休業に関する制度および介護に関する両立支援制度等を個別に周知し、介護休業取得等の意向を確認する措置が事業主に義務づけられます。個別周知および意向確認については、育児休業に関する制度等ですでに義務化されていますが、今回の改正により、介護休業等に関する制度についても適用されることとなりました。

(2)介護両立支援制度等の早期の情報提供(施行日:2025年4月1日)

上記(1)とは別に、労働者が40歳に達した日の属する年度その他省令で定める期間の始期に達したときは、労働者に対して、介護休業に関する制度および介護に関する両立支援制度等について情報提供をすることが義務づけられます。

(3)介護両立支援制度等を利用しやすい雇用環境の整備(施行日:2025年4月1日)

事業主は、介護休業および介護両立支援制度等を利用しやすい環境を整えるため、以下の①から③の中からいずれかの措置を講じることが義務づけられます。

 ①  介護休業にかかる研修の実施
 ②  介護休業に関する相談体制の整備
 ③  その他省令で定める雇用環境の整備に関する事項

 

(4)介護休暇の見直し(施行日:2025年4月1日)

介護休暇については、子の看護休暇と同様、労使協定で制度利用の対象外とすることができる労働者の要件が見直されます。現行法で制度利用の対象外とすることができるのは、「継続して雇用された期間が6ヵ月未満の労働者」、「週の所定労働日数が2日以下の労働者」、「業務の性質もしくは業務の実施体制に照らして、厚生労働省令で定める1日未満の単位で休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者(休暇の時間単位の取得についてのみ)」とされていますが、改正後は、「継続6ヵ月未満の労働者」が撤廃され、労使協定の締結の有無にかかわらず、入社後間もない労働者も介護休暇が取得できるようになります。

(5)在宅勤務等の努力義務化(施行日:2025年4月1日)

現行法では、事業主は家族を介護する労働者について、介護休業もしくは介護休暇に関する制度または介護のための所定労働時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。改正後は、これらの努力義務の措置として、在宅勤務等が追加されます。

2.次世代法の改正

現在の少子化の進展等の状況を踏まえ、法律の期限を延長したうえで、「女性が働きやすい職場」だけでなく「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指す企業の取組みをさらに促進するため、次世代法の改正が行われました。

(1)次世代法の有効期限の延長(施行日:2024年5月31日)

次世代法の有効期限は、2025年3月31日までとされていますが、改正により10年間延長され、2035年3月31日までとされました。

 

(2)行動計画策定時の状況把握・数値目標設定の義務(施行日:2025年4月1日)

次世代法では、常時雇用する従業員が100人超の事業主に対し、一般事業主行動計画の策定が義務づけられています。改正後は、一般事業主行動計画の策定に関し、次の2点が改正されます。

① 計画策定時の育児休業取得状況や労働時間の状況の把握

一般事業主行動計画について、自社の育児休業等の取得状況および労働時間の状況を把握し、改善すべき事情を分析した上で、分析結果を勘案して新たな行動計画を作成または変更しなければならないこととされます。

② 数値目標の設定

一般事業主行動計画には、計画期間、目標、目標達成のための取組み内容と実施時期を定める必要がありますが、改正後は、目標について数値を用いて定量的に定めなければならないこととされます。
 この改正は、すでに策定されている行動計画については、施行日以降に開始(または内容変更)する行動計画から適用されます。

3.おわりに

今回は育児・介護休業法のうち介護に関する改正と次世代法の改正について見てきました。今回の改正に伴い、介護休暇の見直しに関する就業規則等の変更や労使協定の再締結のほか、介護に関する個別周知・意向確認や早期の情報提供のための書面等の準備、雇用環境整備として講じる措置の検討等、さまざまな実務的対応が必要となりますので、早めの準備が肝要です。

 
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以上

 

 


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