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人事労務コラム Column

2026.02.01

法改正情報

【法改正対応!】2026年4月施行 主な法改正事項のまとめ(前編) ~ 健康保険法・子ども・子育て支援法、厚生年金保険法、確定拠出年金法 ~

ヒューマンテック経営研究所

近年、労働関係諸法令に関する改正が頻繁に行われており、なかには社内諸制度の見直しや諸規程の改定などの対応が必要となるものも少なくありません。2026年(令和8年)4月1日には、年金制度、健康保険制度、女性活躍推進をはじめとした、企業の人事・労務管理の実務に影響がある多くの法令等の改正が施行・適用されます。そこで、今回は2026年4月施行の改正事項のうち、企業実務に影響が大きいものを中心に、今回と次回の2回に分けて解説します。

 

1.2026年4月施行の主な改正事項

2026年4月施行の主な改正事項の全体像は図表1のとおりです。今回は、このうち、健康保険法、子ども・子育て支援法、厚生年金保険法、確定拠出年金法の改正について見ていきます。

【図表1 2026年4月施行の主な改正事項】下線がついている項目は関連コラムにリンクしています。

法律 改正項目
健康保険法 被扶養者の認定における年間収入の取扱いの見直し
子ども・子育て支援法
健康保険法
子ども・子育て支援金制度の開始
厚生年金保険法 在職老齢年金制度の支給停止基準額の引上げ
確定拠出年金法

企業型DCにおけるマッチング拠出制限の撤廃

企業型DCにおける手続きの簡素化
労働施策総合推進法 治療と就業の両立支援対策の強化(努力義務)
女性活躍推進法 情報公表義務の適用拡大等
労働安全衛生法 個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
高年齢者の労働災害防止のための措置の強化(努力義務)

 

2.改正法の概要

では、各改正の概要について見ていきたいと思います。

 

(1)被扶養者の認定における年間収入の取扱いの見直し(健康保険法)

健康保険の被扶養者認定における年間収入の判定方法が変更されます。年間収入は「過去の収入、現時点の収入、または将来の収入見込みなどから、今後1年間の収入見込み」を基準として判断することとされており、現行では、勤務先から発行された給与明細書や市区町村から発行された課税(非課税)証明書等が判定に用いられています。

この取扱いが、2026年4月1日以降、労働契約を締結した時点で見込まれる収入を用いて年間収入の判定を行う運用へと見直されます。具体的には、労働条件通知書等の労働契約の内容が確認できる書類に記載された時給・労働時間・日数等を用いて算出した年間収入見込み額により判定することになります。この場合、労働条件通知書等に明確な記載がなく、あらかじめ金額を見込むことが難しい時間外労働に対する賃金等は年間収入見込み額には含まないこととされるため、時間外労働等の一時的な収入増加があっても、労働条件通知書等により算出した金額が認定要件を満たしていれば、被扶養者として認定されることになります。変更後の認定要件をまとめると、図表2のとおりです。なお、被扶養者認定の対象者(以下「認定対象者」という。)に給与収入以外の収入(年金収入や事業収入等)がある場合は、従来どおり勤務先から発行された収入証明書や課税(非課税)証明書等により年間収入を判定することとなるため、留意が必要です。

【図表2 被扶養者の認定要件(認定対象者の収入が給与収入のみの場合)】下線が変更点

「労働条件通知書」等の労働契約内容が分かる書類に記載のある賃金(※1)から見込まれる年間収入が130万円未満(※2)であり、かつ、他の収入が見込まれないこと
同居の場合 原則として被保険者の年間収入の2分の1未満であると認められること
別居の場合 被保険者からの援助による収入額より少ないこと
(※1)労働基準法第11条に規定される賃金をいい、諸手当および賞与も含まれる。
(※2)認定対象者が60歳以上の者または障害者である場合は180万円未満、認定対象者(被保険者の配偶者を除く。)が19歳以上23歳未満である場合にあっては150万円未満。

 

(2)子ども・子育て支援金制度の開始(子ども・子育て支援法、健康保険法)

2026年4月より少子化対策の安定財源を確保するため、医療保険制度を通じて「子ども・子育て支援金」(以下「支援金」という。)を徴収するしくみが導入されます。支援金は被用者保険や国民健康保険などの医療制度の保険料に上乗せする形で徴収され、児童手当の拡充や妊婦のための支援給付など主に6つの子育て支援策に充てられます。被用者保険(健康保険・共済組合)に加入している場合、支援金額は「標準報酬月額×支援金率」で算出されますが、2026年度の支援金率は0.23%であり、原則として事業主と被保険者で折半負担します。支援金率は段階的に引き上げられることとされており、2028年度に0.4%程度となることが想定されています。このため、4月以降の給与計算時の保険料控除額等には注意を要します。なお、2026年度の支援金の試算額は図表3のとおりです。

【図表3 2026年度の各医療保険制度における年収別の支援金額の試算】

被用者保険
(協会けんぽ・健保組合・共済組合)
市町村国民健康保険 後期高齢者医療制度
年収 被保険者一人当たり(月額) 年収 世帯(夫婦と子のいる世帯)当たり
(月額・50円丸め)
年収 被保険者一人当たり
(月額・50円丸め)
200万円 192円 80万円 50円 80万円 50円
400万円 384円 100万円 50円 100万円 50円
600万円 575円 150万円 250円 125万円 50円
800万円 767円 200万円 400円 150万円 50円
1,000万円 959円 250万円 550円 175万円 100円
300万円 650円 200万円 200円

 

(3)在職老齢年金制度の支給停止基準額の引上げ(厚生年金保険法)

65歳以上の在職老齢年金について、2026年4月より支給停止となる基準額が引き上げられます。

在職老齢年金とは、一定額以上の報酬のある高齢者について年金の支給を調整するしくみです。現在の制度では、賃金と厚生年金の合計が月51万円(2025年度)を超えると、超えた分の半額が支給停止となります。この制度について、高年齢者が意欲に応じて働き続けられる環境を整備するため、支給停止となる基準額が月62万円へ引き上げられます。このため、65歳以上の継続雇用者を抱える企業においては、必要に応じ働き方や処遇設計の見直しをすることが考えられます。

 

(4)企業型DCにおけるマッチング拠出制限の撤廃(確定拠出年金法)

本改正では、従業員が自身のライフプランや資産形成意識に応じて、より主体的に老後資金を準備できるよう、企業型DCのマッチング拠出制度(事業主の拠出に上乗せして加入者掛金を拠出すること)について、加入者掛金が事業主掛金を超えてはならないとする制限が撤廃されます。現行の制度では、拠出意欲が高い従業員であっても、事業主拠出額が上限となっているため、十分な積立ができないケースがありますが、制限の撤廃により、事業主掛金の額によらず、拠出限度額の枠内で加入者が自由に拠出できるようになります。このことにより、今まで以上に拠出限度額や老後資金の自己責任原則について、従業員一人ひとりが正しく理解することが重要になります。このため、これらの点について従業員への十分な説明を行い、理解を促す取り組みが求められます。

 

(5)企業型DCにおける手続きの簡素化(確定拠出年金法)

2018年に中小企業向けに創設された簡易型DC制度が廃止され、通常の企業型DC制度へ統合されます。これに伴い、簡易型DCにおいて簡素化されていた手続きのうち、一部については通常の企業型DCにも適用されることとなります。

 

3.おわりに

次回は、労働施策総合推進法や女性活躍推進法などの改正事項について見ていきます。

以上

 


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