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人事労務コラム Column

2026.03.01

法改正情報

【2026年4月施行】女性活躍に関する情報公表等が改正されます ~ 改正女性活躍推進法省令・指針の概要 ~

ヒューマンテック経営研究所 所長 藤原伸吾(特定社会保険労務士)

2025年6月11日に公布された「労働施策総合推進法等を改正する法律」により女性活躍推進法が改正され、10年の有効期限延長や情報公表の必須項目が拡大される等の見直しが行われました。

➡女性活躍推進法の改正概要についてはこちら(関連コラム)
 

この改正に伴い、女性活躍推進法に基づく省令・指針が改正され、一般事業主行動計画に盛り込むことが望ましい取組内容として、女性の健康上の特性にかかる取組みが追加されたり、えるぼし認定およびプラチナえるぼし認定女性の健康上の特性への配慮に関する基準を満たした場合のプラス認定が追加される等の見直しが行われました(2025年12月23日公布・告示)。今回は省令・指針の改正のうち、主に一般事業主行動計画の策定・届出および女性の活躍に関する情報公表に関する改正の概要について見ていきます。

1.女性活躍推進法において事業主が行うべき事項について

省令・指針の改正について見る前に、まずは女性活躍推進法において事業主が行うべき事項について見ていきます。同法では、常時雇用する労働者が101人以上の事業主(以下「事業主」という。)に対して、以下の事項が義務づけられています

(1)一般事業主行動計画の策定・届出
(2)女性の活躍に関する情報公表

 

(1)一般事業主行動計画の策定・届出

事業主は、次の①~④の手順にしたがって一般事業主行動計画の策定・届出を行うことが義務づけられています。

① 自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析

一般事業主行動計画の策定にあたって、事業主はまず自社の女性の活躍に関する状況を把握して、その結果から自社の課題を分析する必要があります。状況把握、課題分析にあたっては、基礎項目(必ず把握すべき項目)選択項目(把握することが任意とされている項目)があり、事業主はまず基礎項目について状況の把握、課題の分析を行うこととされています。その結果、自社の課題と判断された項目については、さらにその原因を深めるために選択項目を活用して課題の分析を行うことが望ましいとされています。

② 一般事業主行動計画の策定、社内周知、外部公表

①の状況把握、課題分析の結果を踏まえて、(a)計画期間、(b)数値目標、(c)取組内容、(d)取組みの実施時期を盛り込んだ一般事業主行動計画を策定するとともに、策定・変更した一般事業主行動計画は、すべての労働者に周知し、また外部に公表する必要があります。

③ 一般事業主行動計画を策定した旨の届出

一般事業主行動計画を策定、変更した場合は都道府県労働局へ届け出る必要があります。

④ 取組みの実施、効果の測定

一般事業主行動計画の策定後は、取組み等を実施していくこととなりますが、事業主行動計画策定指針(指針)によれば、定期的に数値目標の達成状況や、一般事業主行動計画に基づく取組みの実施状況を点検・評価し、その後の取組みや計画に反映させる、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)を確立させることが重要とされています。

 

(2)女性の活躍に関する情報公表

事業主は、自社の女性の活躍に関する状況についての情報を外部に公表することが義務づけられています。情報公表に関しては、今回の女性活躍推進法の改正により、男女の賃金額の差異、女性管理職比率の公表が事業主に対して一律に義務づけられました。

 

2. 改正の概要

それでは、省令・指針の改正のうち、一般事業主行動計画の策定・届出および女性の活躍に関する情報公表に関する改正点についてそれぞれ見ていきます。

(1)一般事業主行動計画の策定・届出にかかる改正

まずは、一般事業主行動計画の作成・届出に関する主な改正点について見ていきます。

① 自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析に用いる基礎項目の追加

今回の省令の改正によって、事業主が自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析を行う際に用いる基礎項目に「男女の賃金額の差異の状況」が追加されました。改正前は事業主のうち、常時使用する労働者が301人以上の事業主に対して把握が義務づけられていた項目ですが、改正により常時使用する労働者が101人以上300人以下の事業主に対しても把握が義務づけられました。改正後の基礎項目は以下の5項目です。

a)採用した労働者に占める女性労働者の割合
b)男女の平均継続勤務年数の差異
c)労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況
d)管理職に占める女性労働者の割合
e)男女の賃金額の差異の状況

 

なお、省令の施行日前にその計画期間が開始したものについては適用されません。そのため、2026年4月1日前に計画期間が開始した一般事業主行動計画は策定しなおす必要はありません。また、2026年4月1日前に計画期間が開始していれば、常時雇用する労働者の数が101人以上300人以下の事業主が、2026年4月1日以後、計画期間内に一般事業主行動計画を変更する場合であっても、基礎項目は4項目のままとされています。

② 一般事業主行動計画に盛り込む取組内容の追加

今回の指針の改正により、一般事業主行動計画に盛り込むことが望ましい取組内容として、職場における女性の健康上の特性にかかる取組みが追加されました。指針では、取組みの例として以下が示されています(図表①参照)。

【図表① 女性の健康上の特性にかかる取組みの例】

〇職場におけるヘルスリテラシー向上のための取組み

 ・女性の健康上の特性に関する研修会の開催
 ・婦人科健診等の検診受診の重要性を含めた、健康課題に関する啓発冊子の配布や動画の配信

 
〇休暇制度の充実・柔軟な働き方の実現

 ・生理休暇を取得しやすい環境の整備
 ・女性の健康上の特性に配慮した休暇制度の整備(不調時の休養、治療・通院、検診等の多様な目的で利用することができる休暇制度等)
 ・女性の健康上の特性に配慮した柔軟な働き方を可能とする制度の整備(所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワーク等)

 
〇健康課題を相談しやすい体制づくり

 ・女性の健康上の特性について相談および対応可能な体制構築(産業医、カウンセラーの配置や外部の相談先の紹介、オンラインによる健康相談)
 ・女性が気軽に利用・相談できるオンラインによる相互交流の場の設置

 
〇その他の取組み

 ・婦人科検診の受診に対する支援
 ・妊婦等が利用できる休憩スペースの設置

 

なお、指針では、性別を問わず使いやすい特別休暇制度の整備や職場全体の働き方改革等、女性だけでなく労働者全体を対象として取り組むことも有効とされています。

③ 一般事業主行動計画の外部公表の方法の明確化

一般事業主行動計画を策定・変更した際の外部公表の方法について、省令では、改正前は「インターネットの利用その他の適切な方法によるもの」とされていますが、今回の改正により「厚生労働省のウェブサイトへの掲載その他の適切な方法によるもの」と変更されることとなりました。指針についても、改正前は国が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社のホームページへの掲載等での公表を求めていましたが、今回の指針の改正により、求職者等が容易に閲覧できるようにするという観点から、国が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が最も適切な方法である旨が示されています。なお、自社のホームページへの掲載等による公表も引き続き可能とされています。

 

(2)女性の活躍に関する情報公表にかかる改正

次に、女性の活躍に関する情報公表に関する主な改正点について見ていきます。

① 情報公表項目の区分の変更

女性活躍推進法の改正に伴い、省令・指針において、情報公表項目の区分が変更されました(図表②)。改正後は、図表内の(1)および(2)の情報公表に加えて、常時雇用する労働者が301人以上の事業主は(3)および(4)の区分の項目の中から各1項目以上、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主は(3)または(4)の項目の中から1項目以上を選択して公表する必要があります。

【図表② 改正後の情報公表項目】

区分 情報公表項目
(1)男女の賃金の額の差異
(2)管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合
(3)その雇用し、または雇用しようとする女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績
①採用した労働者に占める女性労働者の割合
②男女別の採用における競争倍率
③労働者に占める女性労働者の割合
④係長級にある者に占める女性労働者の割合
⑤役員に占める女性の割合
⑥男女別の職種または雇用形態転換実績
⑦男女別の再雇用または中途採用の実績
(4)その雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
①男女の平均継続勤続年数の差異
②10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
③男女別の育児休業取得率
④労働者の一月あたりの平均残業時間
⑤雇用管理区分ごとの労働者の一月あたりの平均残業時間
⑥有給休暇取得率
⑦雇用管理区分ごとの有給休暇取得率

 
② 男女の賃金額の差異および女性管理職比率の公表時の留意点

改正後の指針では、男女の賃金額の差異および女性管理職比率について、指標の大小それ自体のみに着目するのではなく、要因および課題の分析を行い、改善に取り組んでいくことが重要あるとされています。また、公表にあたっては、単に数値の情報だけでなく、要因および課題の分析の結果等のより詳細な情報や補足的な情報を公表することも可能とされ、事業主はこのような追加的な情報公表を行うことが望ましいとされています。

③ 公表方法の明確化

一般事業主行動計画を策定・変更した際の外部公表の方法の明確化と同様に、情報公表の方法も明確化され、国が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が最も適切な方法として示されました。なお、自社のホームページへの掲載等による公表も引き続き可能とされています。

④ 公表の時期

初回の男女の賃金額の差異および女性管理職比率の情報は、改正法の施行後最初に終了する事業年度の実績について、翌事業年度の開始後おおむね3ヵ月以内に公表する必要があります。事業年度終了の時期に応じた情報公表時期の目安は図表③のとおりです。

【図表③ 情報公表時期の目安】

事業年度終了の時期 公表時期
令和8年4月末に事業年度が終了する企業 おおむね令和8年7月末までに公表
令和8年12月末に事業年度が終了する企業 おおむね令和9年3月末までに公表
令和9年3月末に事業年度が終了する企業 おおむね令和9年6月末までに公表

 
 

3.おわりに

今回は省令・指針の改正のうち、一般事業主行動計画の策定・女性の活躍に関する情報公表に関する改正点について見てきました。2026年4月1日施行後は、省令・指針の改正内容を踏まえた対応が事業主に求められますので、施行日に向けて計画的に準備を進めることが重要です。次回は省令・指針の改正のうち、えるぼし認定基準に関する改正点について見ていきます。

以上

 


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