2026.03.15
法改正情報
【2026年4月施行】「えるぼし」認定基準の改正、プラス認定の創設 ~ 改正女性活躍推進法省令・指針の概要 ~
前回は女性活躍推進法に基づく省令・指針の改正のうち、一般事業主行動計画の策定・届出および女性の活躍にかかる情報公表に関する改正の概要について見てきました。今回は、えるぼし認定基準に関する改正の概要について見ていきます。
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【2026年4月施行】女性活躍に関する情報公表等が改正されます~改正女性活躍推進法省令・指針の概要~<
目次
1.えるぼし認定・プラチナえるぼし認定の認定基準について
改正の概要について見る前に、まずは現行のえるぼし認定・プラチナえるぼし認定の認定基準についてそれぞれ見ていきます。
(1)えるぼし認定基準について
「えるぼし認定」とは、一般事業主行動計画の策定・届出を行った事業主のうち、女性の活躍に関する取組みの実施状況が優良な事業主を厚生労働大臣が認定する制度です。認定には3段階あり、各段階に認定基準が設けられています。どの段階のえるぼし認定を受けられるかは、「採用」、「継続就業」、「労働時間等の働き方」、「管理職比率」、「多様なキャリアコース」の5つの評価項目のうち基準を満たした項目数に応じて決まります(図表①)。
【図表①】えるぼし認定の段階と評価項目の基準
| えるぼし3段階目 |
① 評価項目5つすべての基準を満たし、その実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表していること。
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| えるぼし2段階目 |
① 評価項目のうち3つまたは4つの基準を満たし、その実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表していること。
② 基準を満たさない項目については、事業主行動計画策定指針に定められた取組みの中から、当該基準に関連するものを実施し、その取組みの実施状況について「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表していること。
③ 基準を満たさない項目について2年以上連続してその実績が改善していること。
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| えるぼし1段階目 |
① 評価項目のうち1つまたは2つの基準を満たし、その実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表していること。
② 基準を満たさない項目については、事業主行動計画策定指針に定められた取組みの中から、当該基準に関連するものを実施し、その取組みの実施状況について「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表していること。
③ 基準を満たさない項目について2年以上連続してその実績が改善していること。
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(※)傍線部は改正前の基準です。
また、評価項目以外にもすべての段階で共通して満たさなければならない基準が設けられています(図表②)。
【図表②】各段階共通の基準
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① 事業主行動計画策定指針に即して適切な一般事業主行動計画を定めたこと。
② 策定した一般事業主行動計画について、適切に労働者への周知および外部公表をしたこと。
③ 次のいずれにも該当しないこと。
・認定取消または辞退の日から3年を経過していないこと。
・職業安定法の規定により、公共職業安定所等が求人の申込みを受理しないことができる場合に該当すること。
・女性活躍推進法その他の関係法令に違反する重大な事実があること。
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なお、今回の省令の改正により、えるぼし認定(1段階目)の基準(図表①傍線部)について見直しが行われました。改正の内容は2.(1)で見ていきます。
(2)プラチナえるぼし認定基準について
えるぼし認定(1・2・3段階目)を受けた事業主のうち女性の活躍推進に関する取組みの実施状況がとくに優良な事業主は、プラチナえるぼし認定を受けることができます。プラチナえるぼし認定は、えるぼし認定より高い認定基準が設けられていますが、一般事業主行動計画の策定・届出が免除される等のメリットがあります。プラチナえるぼし認定には、えるぼし認定の各段階共通の基準に加えて以下の基準が設けられています(図表③)。
【図表③】プラチナえるぼし認定の基準
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① 策定した一般事業主行動計画に基づく取組みを実施し、当該行動計画に定めた目標を達成したこと。
② 男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任していること(※1)。
③ 評価項目5つすべての基準(※2)を満たしていること(※1)。
④ 女性活躍推進法に基づく情報公表項目(「社内制度の概要」を除く。)のうち、8項目以上を公表していること(※1)。
⑤ 雇用管理区分ごとのその雇用する労働者の男女の賃金額の差異について把握したこと。
⑥ プラチナえるぼし認定の申請より前に、①の一般事業主行動計画に定められた目標を容易に達成できる目標に変更していないこと。
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2.改正概要
それでは、えるぼし認定基準に関する改正点についてそれぞれ見ていきます。
(1)えるぼし認定基準(1段階目)の見直し
今回の省令の改正により、図表①のえるぼし認定(1段階目)の基準のうち、「基準を満たさない項目について2年以上連続してその実績が改善していること」についての見直しが行われ、以下のように変更されました(図表④)。
【図表④】改正後の基準
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基準を満たさない項目について、次の①、②のいずれかに該当すること。
① 直近2年以上連続してその実績が改善していること。
② 以下のⅰ)、ⅱ)のいずれにも該当すること。
ⅰ)単年度の実績を評価している項目(※2)については、
a:直近の事業年度までの連続する3事業年度の平均値 b:その前の事業年度までの連続する3事業年度の平均値 c:その前々年度までの連続する3事業年度の平均値 を比較し、連続して改善していること(a>b>c)。 ⅱ)上記以外の項目については、直近2年以上連続して実績が改善していること。
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改正後は、従来の①の基準もしくは新たな②の基準のいずれかを満たせば認定基準を満たすこととなります。なお、えるぼし認定(2段階目)にも同様の基準(基準を満たさない項目について2年以上連続してその実績が改善していること)が設けられていますが、見直しが行われたのは1段階目のみであり、2段階目について変更はありません。
(2)プラス認定の創設
今回の省令の改正により、えるぼし認定(1・2・3段階目)およびプラチナえるぼし認定に、女性の健康上の特性への配慮に関する基準を満たした場合の「プラス認定」が創設されました。
プラス認定では、えるぼし認定およびプラチナえるぼし認定のそれぞれの基準を満たしたうえで、以下の女性の健康上の特性への配慮に関する基準を満たす必要があります(図表⑤)。
【図表⑤】女性の健康上の特性への配慮に関する基準
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次のいずれにも該当すること。
① 女性の健康上の特性に配慮した休暇制度および女性の健康上の特性への配慮のために利用することができる次のいずれかの制度を設けていること。
ⅰ)半日単位・時間単位の年次有給休暇制度 ⅱ)所定外労働の制限に関する制度 ⅲ)時差出勤制度 ⅳ)フレックスタイム制度 ⅴ)短時間勤務制度 ⅵ)在宅勤務等を可能とする制度 ② 女性の健康上の特性への配慮に関する方針を示し、①に掲げる制度の内容とともに労働者に周知させるための取組みを実施していること。
③ 女性の健康上の特性への配慮に関する研修その他の女性の健康上への配慮に関する労働者の理解を促進するための取組みを実施していること。
④ 女性の健康上の特性への配慮に関する業務を担当する者を選任し、労働者からの女性の健康上の特性に関する相談に応じさせる措置を講ずるとともに、労働者に周知させるための措置を講じていること。
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プラス認定を受けた事業主は、広告や自社のホームページ等に以下の認定マークを使用することができます(図表⑥)。
【図表⑥】えるぼしプラス認定・プラチナえるぼしプラス認定マーク

プラス認定は、すでにえるぼし認定(1・2・3段階目)およびプラチナえるぼし認定を受けている事業主だけでなく、これらを受けていない事業主も申請することができます。
(3)プラチナえるぼしプラス認定を受けた後の実績公表項目の追加
女性活躍推進法において、プラチナえるぼし認定を受けた事業主には、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組みの実施状況について、毎年少なくとも1回、公表することが義務づけられています(図表③(※1)参照)が、今回の省令の改正により、プラス認定を受けた事業主については公表すべき項目が追加されました。改正後は、以下の項目を「女性の活躍推進企業データベース」に公表する必要があります(図表⑦)。
【図表⑦】プラチナえるぼしプラス認定を受けた事業主が公表すべき項目
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① 男女雇用機会均等推進者および職業家庭両立推進者の選任状況
② 評価項目5つすべての実績
③ 女性活躍推進法に基づく情報公表項目(社内制度の概要を除く)のうち8項目以上を公表していること
④ 女性の健康上の特性に配慮した休暇制度および女性の健康上の特性への配慮のために利用することができる制度のうち講じている制度すべての内容
ⅰ)半日単位・時間単位の年次有給休暇制度 ⅱ)所定外労働の制限に関する制度 ⅲ)時差出勤制度 ⅳ)フレックスタイム制度 ⅴ)短時間勤務制度 ⅵ)在宅勤務等を可能とする制度 ⑤ 女性の健康上の特性への配慮に関する研修その他の女性の健康上への配慮に関する労働者の理解を促進するための取組みの内容
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(※)傍線部が追加された項目です。
3.おわりに
今回は省令・指針の改正のうち、えるぼし認定基準に関する改正点について見てきました。2026年4月1日以降にえるぼし認定(1段階目)の取得を目指す企業やプラス認定の取得を目指す企業は、今回の改正点を踏まえて準備を進めていきましょう。なお、女性活躍推進法の改正により、プラチナえるぼし認定については、2026年10月1日から「求職者等に対するセクシュアル・ハラスメント防止にかかる措置の内容を公表していること」が認定基準に追加される予定ですので、今後の動向にも注意が必要です。
以上
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